2011年8月3日水曜日

Second Lifeのシステム-土地情報編

バーチャル不動産王だの、レンタル業で大もうけだの、バーチャル土地ころがしだの お金儲けの一端として取り上げられがちだった、Second Life(以下、SL)の土地についての情報をこのエントリに記す。わからない単語が出てきた時ははじめのエントリを参照していただくとわかる場合もある。なお、土地の購入・維持には基本的にプレミアムアカウント(定額課金)が必要となる。ユーザーの運営する業者からのレンタルを頼りにする場合はこの限りでない。アカウント・課金の詳細については前エントリ Second Lifeのシステム-基本編 をお読みいただきたい。

●エリアレーティング
SLの世界を構成する、それぞれのSIM(simulatorの略。regionとも呼ばれる。エリア、地域。1SIMの広さは 256×256m =65536㎡)は独自のレーティングを持っている。その種類は3つ。

PG
(Parental Guidance)=General
もっ とも制限が厳しいSIM。"お子様にも安心です"とされる常識、ルールが適用される(といっても、SLをプレイするには18歳以上であることが必須の条件 なのだが。ティーンには専用のワールド、Teen Gridが用意されていた・・・・・・のだが廃止されたそうだ。2011年8月1日修正。ティーンが入場可能なのはPGのみ。)暴力、性を扱うコンテンツは特に厳しく取り締まられる。企業の キャンペーンSIM、大学など学術団体の所有するSIMはこのレーティングが多い。混み合ったPGエリアで裸体で銃を持って暴れまわれば、最悪ものの数分 で10件以上の迷惑レポートを送信され、即ban(ゲームからの追放)となることも大いにありうる。
現在、新ビューワ Viewer2.0の導入に伴い、名称がGeneralに変更されつつある。

Mature=Moderate
かつて成人向けとされていたレーティングだが、後述する新レーティング"Adult"の登場により、こちらが最も"ふつう"のランク付けとなった。性や暴力表現もある程度なら許容される。
現在、新ビューワ Viewer2.0の導入に伴い、名称がModerateに変更されつつある。

Adult
成人証明(公式サイトでの免許証、パスポート情報などの登録)が済んでいないユーザーは立ち入ることができない。文字通り、あなたの想像するような"アダル ト"な目的のプレイがなされ、アイテムが販売される場所として使用される。激しいエロティックな行為、もしくはバイオレンスロールプレイが行われる場所 や、装着型の性器、巨乳、付け乳首などが販売されるショップはこのレーティングでなければならない。アダルトな用途とは無関係に、素性のわからない人間を入れない"強力な人払い"としてこの レーティングを課しているSIMも存在する。

とはいえ、SL内に存在するSIMは、Linden Lab.が最初から用意している公式の土地(mainland/メインランド)+ユーザーが購入し、月課金を払って維持している個人 SIM(private island/プライベートアイランド)と合わせてその数は膨大。誰かが土地を新規に購入するたびにSIMは増えていく。すべてをチェックすることなどできない実情と、上記レーティングの差を正しく理解してい ないユーザも存在することから、多少のカオスが発生している。


例。 ケモノ姿のアバター(furry)にいわゆる"ぶっかけ"の視覚効果を追加するアイテムを販売するお店。本来なら、Adultエリアになければならない が、Matureの地域で見かけた。ちなみに 喜んでいいのか嘆いていいのか、Hentai界隈の知識が豊富な海外勢にはbukkakeでふつうに意味が通る。


このほか、土地(simであれ、simの一部を切り取った小区画=parcel)の所有者は、以下のような設定を所有地に対して行うことができる。
・土地の編集(地面の高さの変動など)権限
・飛行権限
・アイテム生成権限
・アイテム設置権限
・スクリプト実行権限
・落下・衝突などによるダメージのある・なし
・土地に流すストリーミングラジオ、メディアの設定
・push許可/不許可(注4)
・土地への進入許可(注5)
など

注4:他の住民を突き飛ばす行為・・・・・・相手を1億mぐらい吹っ飛ばせる武器と言うのがこの世界にはある。アバター同士には当たり判定があり、どすどす他人にぶつかることは失礼とされている。突き飛ばす行為も同様だ。
注 5:さらに細かく、成人登録していないユーザーの入場を禁止する、課金情報を登録していないユーザーの情報を禁止する、指定したグループに所属している ユーザーの入場のみを許可する、入場料を取る、ホワイトリスト・ブラックリストを使用して個人ごとに入場を許可/禁止する設定が可能。ただし、前者2つ (成人と課金登録)以外の入場制限は、高度50m以上の空間には効果がない。

さらに、SIMにはレーティングとは別に、土地の成り立ちの異なる2種類のSIMと、機能の異なる3種類のSIMが存在する。こちらを先に書くべきであったか。SIMまるまるひとつのサイズは前述したとおり、256×256m =65536㎡である。

■SIMの成り立ち別分類
1)mainland(メインランド)
Linden Lab.が最初から用意しているマップ。Lindenがつぶれない限り存在するというメリットがあり、購入費 用が安いが、維持費はLinden Lab.に支払う必要があるので、プレミアムアカウントを所有していない場合はレンタルに頼るほかない。すべての居住可能なSIMはfull sim(後述の■SIMの機能別分類を参照)である。ほぼ必ずほかのSIMと隣接しており、隣の派手な建物のせいで景観が台無し、というケースは非常に多い。すでにほとんどの場所は誰かの所有となっている。さらに、マンションで言えば角部屋にあたる、隣が海の地域は値段が跳ね 上がる。こまめに売り情報をチェックしてもなお、希望の位置・名前・価格のそろったSIM全体を買うのは難しい状況にある。
参考リンク:メインランド価格および手数料 (公式サイトより)

2)private island(プライベートアイランド)
resident(ユーザー)が所定の金額をLinden Lab.に支払って用意してもらう、自分専用の個人所有SIM。他人のどの土地とも接していない完全な独立空間を得ることができる。プライバシーが確保され、設定も自由自在。また、他のSIMと重複していない限り、自由な名前をつけることができる。購入できるprivate islandは、機能別に3種類用意されており価格が異なる。後述の■SIMの機能別分類、もしくはSecond Life公式サイトの プライベートリージョンの価格 を参照していただきたい。

■SIMの機能別分類
価格はprivate island =個人所有SIMを買う場合のもの。
1) full sim (別名full region。フルシム、フルリージョン)
最も標準的で、最大の機能を 持つSIM。サーバのCPU1つあたり、2つのfull simを稼動させる。にぎやかな商用地、ロールプレイエリア、大量のスクリプトを稼動させる目的の地域、バーチャルコンサート会場運営などを行うならこの SIMを使わないと苦しい。入場できる人数の最大は100名。設置できるprim(primitivesの略。これについても説明しないとなぁ。SL内の あらゆるオブジェクトを構成する最小要素となるブロック。)は15000。
価格: 1000ドル(約77500円) 月の維持費:295ドル(約23000円) 最大prim数:15000 最大収容人数:100人

2)homestead (ホームステッド)。
パワーをfull simのおよそ1/4にセーブしたSIM。ライトな使い方に向いている。金銭的に余裕のあるユーザがhomesteadを丸ごと買い、静かな孤立した自分 だけの城を作ったり、本店用SIMとして用いたりすることはよくある。ただし、"homesteadを買うには、すでに1つ以上のfull simを所有していなければならない"という厳しい購入条件がある。このため、homesteadだけがほしいユーザは、full sim を所有している不動産業者から、"個人的に"土地を購入する必要がある。支払いを巡るトラブルが起こる可能性があることは念頭においておかなければならな い。地主が支払い不能になって逃走→すべてのsimが稼動停止・消滅→一夜にして家なし、店なし になることもSLでは日常茶飯事。不動産業者はL$での支払いを認めている場合も多い。
価格:375ドル(約29000円) 月の維持費:125ドル(9600円) 最大prim数:3750 最大収容人数:20人

3)openspace (オープンスペース。別名void sim、環境sim)

さらに機能を絞ったSIM。full regionの周囲に配置し、森や海原を表現するのが主な目的。こちらもhomesteadと同じ購入必須条件があるため、同様の制限とリスクが存在する。homesteadの項目を熟読されたい。
価格:250ドル(約19000円) 月の維持費:75ドル(約5800円) 最大prim数:750 最大収容人数:10人

筆者は1年半ほどHomesteadを一般ユーザから購入し、所有していたことがある。家賃はL$23000/月の仮想通貨支払いで行っていた。これはかなり安いほうだと思う。日本の土地レンタル業者だと購入が30000円、維持費が12000円/月ぐらいが普通か、と思われる。誰もいない世界に一人でぽつんとしていたくて、ただそれだけのために持っていた。客を招いたことは1回しかなかったと思う。



暑くて疲れた。続きは元気が復活してからまた書きます。7/29少し追加。8/3新エントリとして移動。8/17やや記述を整理。
次のタスク:ものづくりの仕方と、各種設定(edit)できる世界の特徴については書いておかねば。
土地は上空も土地って言う話も。スカイボックスはいいものだ。このあたりは別エントリーで書こうとおもう。