2011年6月9日木曜日

アバターの地位

ソーシャル/ワールドシミュレータであるSLは、MMOゲーム同様、―ラダー上位の強兵、巨大ギルドの頭目、晒しスレの常連―のような、 アバター(≒キャラクター)の地位と評判というものがある。新作を次々と発表する人気ブティックのデザイナー、美麗景観SIM群を持つやり手のランドロード、現実世界の名勝を再現するバーチャル建築家、活動の場を仮想世界に求めたアーティストなどなど。よきにつけあしきにつけ、実績から生まれる地位は、その人自身が得たものだ。その点では現実とあまり違いがない。

しかし、現実の価値付けとはまったく異なる地位と言うものもある。「有名デザイナーやクリエイターの知り合い」という地位は、たびたびSL内でさりげない自慢の種とされるが、現実での「大社長とのコネがある立場」とはぜんぜん違う。SL内デザイナーは"レビューコピー"や"プレリリース"、"ティザー"などの名目で、新製品をSLアルファブロガーや、宣伝してくれる可能性がある友人知人にただで配布することがある。リアルマネーがバーチャル経済に絡むSLでは、現金を費やして買わねばならぬアイテムを"堂々とコジキできる"、という地位は羨望と嫉妬の対象となる。ここはまことフシギな世界なのだ。

また、電通の宣伝戦略によって一時的に 少しだけ起きかけたような気がしないでもない程度には話題になった、2006年末~2007年の、日本でのSecond Lifeブーム以降は、「古参であること」を優れた地位の一つとしてアピールする層も現れた。これはばかげている。昔はさー、で始まる昔語りは現在のユーザに何の利益も与えない。俺のほうが昔からいるのだから影響力、発言力が大きいのは当たり前のことだ、とでも言わんばかりの態度が、実際どのような効果を生むのか。「古参の知り合い」は「有名デザイナーやクリエイターの知り合い」にすら匹敵しない、まったくもって意味のない、くだらないものでしかない。だいたい古参が偉いなら、この筆者こそが頂点に立っていなければおかしいではないか。経験値もレベルも何もないこの世界で、プレイ歴が長いことには大した意味はない。メタバースの進化と共に歩んできた、といえば聞こえはいいし、それはそれでいい経験ではあるが、大抵の人は「そんな前からやってたなんてよっぽど暇だったんすね」と思うだけだろう。

実は古いアカウントには1つだけメリットがある。週に一度与えられるL$のお小遣い(stipendと呼ばれる)が、新しいアカウントよりも多いのだ。プレミアムアカウント(課金プラン -USD 9.95/月、22.50/3ヶ月、72.00 /年)だと毎週500L$。新しいアカウントだと300L$。ベーシックアカウント(無料プラン)だと毎週50L$。新しいアカウントは0L$。こづかい以外のメリットなんて一つもない。古参を自慢する人はバーチャル老害でしかない。間違いない。

よく考えたら上記の点はメリットでもなんでもない。当時は1アカウントを作るのに9.95ドルが必要だったのだ。自分のミスが原因で、2アカウントも作ってしまった。バーチャルマネーのお小遣いをたくさんもらっても、やれアカウント作成だやれプレミアム年課金だと課金をしこたま払っているのだからお得感など沸いてこない。

今はプレミアムも止めた。楽しい無料生活中。

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